特集 循環器疾患を予防する
家庭血圧測定の意義と地域での取り組み—岩手県花巻市大迫町における30年の知見から
大久保 孝義
1,2
1帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座
2東北血圧管理協会
pp.374-379
発行日 2019年5月15日
Published Date 2019/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209143
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はじめに
血圧はかつて医師や看護師などが医療施設,検診会場などで測定するものであった.しかし,個人が家庭で測定する家庭血圧が,外来・健(検)診時に測定される,いわゆる「診察室血圧」よりも優れた臨床的価値を持つことが明らかとなっている.2014年に日本高血圧学会から出された「高血圧治療ガイドライン2014」(以下,JSH2014)1)には,高血圧の診断において診察室血圧と家庭血圧に較差がある場合,家庭血圧を優先することが世界で初めて明記された.その礎を築いたのが岩手県花巻市大迫(おおはさま)町における家庭血圧測定事業に基づく「大迫研究」2)3)の知見である.家庭血圧測定による住民の健康意識向上が,疾病の予防や早期発見にも極めて重要な役割を果たすことが明らかとなってきた.
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