視点
都民1,300万人の生命と健康を守る—行政の現場で考える,これからの公衆衛生
鈴木 祐子
1
1東京都福祉保健局保健政策部疾病対策課
pp.80-81
発行日 2019年2月15日
Published Date 2019/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209067
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公衆衛生との縁
研修医1年目.当直をしていると,救急外来から呼び出された.患者さんは医局中に知れ渡ったリピーターで,「眠れない」を主訴にする,なかなか帰宅しようとしない統合失調症の方であった.自分が対応するのは初めてで,不安な気持ちで当直室を出た.
その患者さんとしばらく話をしていて,学生時代の保健所実習で家庭訪問をさせていただいた方であると気付いた.実習の時,学生の私を快く招き入れてくれた優しい方であった.しかし,部屋は真っ暗で散らかっており,臥床がちに過ごしているのが分かった.保健師は生活リズムについて助言をし,それに素直に応じていた.その方の親しみやすさと生活状況のギャップが非常に印象的であり,これが,人間の生活状況に密着した支援を行う公衆衛生という分野に初めて興味を持った瞬間であった.
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