特集 薬局・薬剤師の地域展開—コミュニティ・ファーマシー
薬局を拠点とした地域包括ケアへの歩みと今後の展望—医薬品事業者の立場から
孫 尚孝
1
1株式会社ファーマシィ医療連携部
pp.888-894
発行日 2017年11月15日
Published Date 2017/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208773
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はじめに
2015年は保険薬局業界にとって激動の年であった.規制改革会議での議論を皮切りにして,財政制度等審議会や経済財政諮問会議などにおいて「費用負担に見合った医薬分業の効果が実感できない」といった批判的な声が多く挙がった.それらを踏まえ,同年10月23日に厚生労働省は「患者のための薬局ビジョン〜「門前」から「かかりつけ」,そして「地域」へ〜」(以下,薬局ビジョン)を公表し,“かかりつけ薬剤師”のあるべき姿について示した1).また,その薬局ビジョンを踏まえて平成28(2016)年度診療報酬改定において「かかりつけ薬剤師指導料」が新設され,同年4月には「健康サポート薬局制度」が施行された1).いずれにおいても,薬局薬剤師による地域包括ケアへの参画の重要性が大きく示された.
株式会社ファーマシィ(以下,当社)は,保険薬局の創成期であった1976年12月に広島県福山市で保険薬局を開局し,医薬分業の進展とともにその道を歩んできた.「地域に根差した信頼される薬局の創造」を理念に掲げ,地域から「見える薬局薬剤師」を追求し,早くから在宅医療や地域への活動に関わってきた.本稿では,その活動を踏まえて,地域包括ケアにおいて直面する課題や,薬局・薬剤師の役割について述べる.
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