映画の時間
—この街は,そしてわたしたちは,これからどこに向かってゆくのだろう.—台北ストーリー—4Kデジタル修復版
桜山 豊夫
pp.529
発行日 2017年6月15日
Published Date 2017/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208692
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男と女の関係を描いた映画は数多くありますが,なかでもクロード・ルルーシュ監督の「男と女」(1966年,フランス)は記憶に残っています.フランシス・レイのテーマ曲も大ヒットし,カンヌ国際映画賞でグランプリを獲得しました.今月ご紹介する「台北ストーリー」も男と女をテーマにして,人間や時代を描いた記憶に残る映画です.監督のエドワード・ヤンは台湾ニューシネマの旗手とも言われていましたが,惜しくも2007年に亡くなっています.
1980年代の台北で,男と女が,ガランとしたマンションの一室を訪れています.2人は新しい生活を始める様子で,マンション購入のために物件を探しているようです.女性は大手不動産ディベロッパーで働くバリバリのビジネス・ウーマンのアジン(ツァイ・チン),男性は彼女の幼馴染で,旧市街の廸化街(ティーホアジェ)で家業の布地問屋を営むアリョン(ホウ・シャオシェン)です.アリョンは部屋のリフォームにもお金がかかりそうだと心配しますが,アジンは,今度昇進するから大丈夫と言います.
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