特集 食品の安全と安心をめぐる話題
ダイエット食品と健康
東泉 裕子
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1国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 食品保健機能研究部食品機能研究室
pp.772-776
発行日 2015年11月15日
Published Date 2015/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208302
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国民の健康志向が高まる中,「健康食品」が広く普及している.消費者委員会が行ったアンケート調査でも,約6割の人が「健康食品」を利用していると回答している1).広く普及している「健康食品」だが,法令上の定義はなく,また,医薬品のような効能効果を標榜する表示は法律で認められていない.しかし,特別用途食品と保健機能食品(特定保健用食品,栄養機能食品,機能性表示食品)には,限られた範囲で機能等の表示が認められている.現在,市販されている「健康食品」は,これらの保健機能食品とそれ以外のいわゆる健康食品(以後,健康食品と示す)を指す.
消費者庁のアンケート調査では,医療機関への受診等をすることなく,健康食品で体調不良を改善しようとした経験がある者は約4割,そのうちおよそ3割はダイエットを目的とした健康食品を利用していることが報告されている1).さらに,同調査において,「美容」「ダイエット」目的の利用者では,20代・30代女性において,健康食品の購入に際して「ランキング・口コミ」を重視する傾向があると述べている.ダイエット目的,すなわち,ダイエット効果を標榜した健康食品は,各種広告媒体を使った広告・宣伝が活発に行われている.一方で,そのような広告・宣伝の中には,ダイエット効果が必ずしも実証されていないにもかかわらず,そうした効果を期待させる表示が数多く見受けられる.本稿では,ダイエット効果を標榜した健康食品について解説する.
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