特集 熱中症
救急医療から見た熱中症患者の特徴
三宅 康史
1
1昭和大学病院救命救急センター
pp.378-383
発行日 2015年6月15日
Published Date 2015/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208196
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熱中症が注目され始めたのは何故か—熱中症急増の原因
熱中症症例の急激な増加は,地球温暖化だけではない.熱中症弱者といわれる高齢者の増加がその発生数を増やしている.高齢者は,体内水分量が少ない上に,暑さを認識する(それを不快に思い対策を取る)能力,心機能,発汗機能が衰えており,熱中症にかかりやすい.その多くは軽症であるが,死亡例の大部分は高齢者である(後述).
そして,21世紀に入って国民やマスコミだけでなく医療従事者にとっても幅広く認識される疾患となり,夏季の体調不良を「熱中症」と診断する医師が増加したことも一因と思われる.実際のところ,短期間に全国レベルで爆発的に発生し,イベントなどで一度に大量に発生する熱中症は,医療機関の救急外来スタッフのみならず,彼らを搬送する救急隊(ヘルメット,マスク,長袖・長ズボンの制服とその上に予防衣を着用して,重い医療器材を携行して路地を抜け階段を上下し,傷病者をストレッチャーに乗せて救急車まで往復する)にとっても,大きな負担になっている.
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