予防と臨床のはざまで
ICOH産業保健サービス・調査・評価に関する科学分科会(後編)
福田 洋
1
1順天堂大学医学部総合診療科
pp.139
発行日 2015年2月15日
Published Date 2015/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208125
- 有料閲覧
- 文献概要
前回に続き,2014年10月15〜16日にイタリアのボローニャで開催されたICOH(国際産業衛生学会)の産業保健サービス・調査・評価に関する科学分科会(SC HSR & EOH)のダイジェストを報告します.
前回紹介した“体の健診”であるオランダの職場の肥満・心血管リスクの予防健診・指導プログラムに対し,“心の健診”についてベルギーのSercu医師から,“Psychosocial barometer:a new tool and method for employee mental health surveillance”と題してヨーロッパにおけるメンタルヘルス疾患の現状とスクリーニングの試みについて発表がありました.OECDのリポートでもメンタル不調は欧州最大の健康課題であるとし,特にベルギーでは欧州平均の1.5倍の自殺や総人口の19%に向精神薬の内服があるそうです.そのような状況を踏まえて開発された職域におけるメンタルチェックは,全従業員を対象に,診断目的でなく,簡便で職業関連性かつワークエンゲージメントなどの概念も含むものとなっており,調査では23%にバーンアウト,13%に抑うつ,10%に不安感を認めるとの結果でした.ストレス健診開始前夜の日本にとって示唆に富む内容でした.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.