トピックス
農村における健康管理
木村 慶
1
Kei KIMURA
1
1愛媛大学医学部公衆衛生学
pp.546-551
発行日 1989年8月15日
Published Date 1989/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207998
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
◆変貌する農業・農村
いま農村の健康問題について論じようとするとき,高度経済成長によってかつてない大変動にさらされ,現在もなお変貌を続けつつある農業,農村の実情をぬきにして考えることはできない.
この20〜30年間のわが国農業の縮小・衰退は著しい,1965年から85年の20年間に総農家数は23%の減少,専業農家は半減,第1種兼業農家は37%に激減している.農業就業人口の減少は農家戸数の減少よりはるかに激しく,基幹的農業従事者数は41%に,さらに,60歳未満の男子農業専従者数は,1970年の210万人から85年には97万人へと,わずか15年間に半数以下となった.農村から都市への人口移動が進み,とりわけ農村の若年労働力は,重化学工業が立地する太平洋沿岸地域の大都市へ大量に吸引された.それとともに,農外収入を求めて農家世帯員の兼業化も急速に進行した.
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.