特集 保健予防活動—保健所の戦術と戦略
保健所における環境衛生業務の展開
竹本 雅之
1
Masayuki TAKEMOTO
1
1大阪府豊中保健所
pp.253-257
発行日 1989年4月15日
Published Date 1989/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207913
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■はじめに
今日,保健所のあり方や将来像をめぐってさまざまな論議や試みがなされており,地域公衆衛生の第一線機関としての保健所の存在価値を再認識する必要が生じてきている.この背景としては,第一に高齢化社会が目前に迫っていること,第二に生活水準の向上による住民の価値観が変わり,保健や福祉に関する住民ニーズが多様化してきていることなど,社会情勢の変化がある.環境衛生面に関してはより快適,より健康的な生活環境の確保が求められている半面,トリクロロエチレン等(テトラクロロエチレン・1,1,1-トリクロロエタン),アスベスト,二酸化窒素などの生活環境を汚染し,健康への影響が懸念されている物質が表面化してきている.このような状況の中で,保健所の環境衛生行政に期待されるところは大きく,また,環境衛生業務を担当する環境衛生監視・指導員の果たすべき役割は重要である.本稿において,環境衛生業務の当面する課題や取り組み事例について述べ,保健所における環境衛生業務のあり方について検討したい.
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