発言あり 保健婦
地域ケアシステムのもつ課題,他
川崎 寿子
1
1大阪府富田林保健所
pp.217-219
発行日 1989年4月15日
Published Date 1989/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207903
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私の頭の中には,保健婦とは地域の健康問題をどうとらえ,関係機関との連携の中でどのように解決するかが,いつも課題として残っている.事例を紹介する中で考えたい.
M氏80歳,生来頑健で農業に従事.転倒が原因でねたきり状態となった.親戚の依頼で訪問した時は転倒してから6カ月の間,医療機関に受診せずに昼夜とも,椅子に座った生活をしていた.ほとんどの大きな関節には拘縮があり,海老のように曲った姿であった.腸骨部,腰部に褥瘡があり潰瘍を形成していたし,臀部から下肢にかけては屎尿,汗でじめっと湿っていた.肛門部は肉芽組織が見え,動かすと痛みを訴え,特に下肢の浮腫がひどかった.閉めきった4畳半の部屋は,屎尿で汚れたままの布団や衣類が積み重ねられ,悪臭がたちこめていた.同居の精神障害を持つ次男(50歳,独身)がどうにか介護をしていたが,他の子供は別居していた.
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