特集 地域環境保全と健康
地方衛生研究所の役割
高橋 克巳
1
Katsumi TAKAHASHI
1
1福岡県衛生公害センター
pp.530-533
発行日 1988年8月15日
Published Date 1988/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207748
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Rene Dubos1)は,「健康とは静的な状態でとらえられるものではなく,絶えず変化する人と環境の動的な相互作用の中で営まれるもので,永遠に続く環境の変動に対する心身の巧みな適合としてとらえることができる」としている.ここで述べられている環境とは,当時(1951年,昭和31年)いまだ公害問題発生以前の概念であり,必ずしも,今日的な概念と全く同一ではないが,環境保健の見地から考える時,心身の適合性の破綻をきたした環境破壊が,昭和40年代の災害的公害として提起された切実な体験を回顧すると,このRene Dubosの健康の定義の妥当性は,十分首肯されるものがある.地域住民の保健衛生に関し,地方衛生行政の科学・技術的中核と位置づけられている地方衛生研究所(以下衛研)の使命と業務において,環境保全と健康は重要な課題であり,この見地から眺めた衛研の歴史的な係わりと,その対応の変化,及び今日的役割について述べてみたい.
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