特集 休養の科学
睡眠の保健学
古田 寿一
1
,
山口 成良
1
Hisakazu FURUTA
1
,
Nariyoshi YAMAGUCHI
1
1金沢大学医学部神経精神医学教室
pp.320-324
発行日 1987年5月15日
Published Date 1987/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207466
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■はじめに
われわれは人生のおよそ3分の1を睡眠に費やしている.「睡眠は広い意味では自然界を支配する活動のリズムのあらわれであり,昼と夜,活動と休息という事物の存在を規定する法則の具現である.このリズムの乱れ,睡眠障害は私たちの心身を健康にたもつ上の大敵である.」1)と秋元によって述べられているように,精神疾患ではその症状のひとつとして睡眠障害を伴うことが多い.また,疫学的調査2)においても,1日の睡眠時間が7〜8時間の人は,それ以下あるいはそれ以上の人に比べ死亡率が明らかに低いという報告もあり,何らかの身体疾患によって健康を害されている場合においても睡眠障害が出現しやすいことを示している.すなわち,規則正しい睡眠と覚醒のリズムは日常生活上の心身の健康の証ということができる.
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