疫学ワークショップ・2
エイズの疫学
松井 利生
1
,
山本 直樹
1
1山口大学医学部寄生体学教室
pp.58-62
発行日 1987年1月15日
Published Date 1987/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207409
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
●はじめに
エイズ(AIDS)の存在は,アメリカの男性同性愛者という特定の集団に,カポシ肉腫やカリニ肺炎という稀な病気が発症することで初めて気づかれた1).AIDSはヘルパーT細胞の減少に伴う後天性の免疫不全症で,通常発病に至らない日和見腫瘍や日和見感染が発生し,高率に死に至る.
当初,男性同性愛者や麻薬常習者,売春婦間で流行する特殊な疾患と考えられたが,上記のグループに全く関係のない血友病患者や輸血を受けた人にもAIDS患者が発生し,血液成分を介した感染症であることが次第に明らかになった.特に,血友病患者の感染源と考えられる血液の凝固因子はろ過し除菌されているので,ウイルスを原因とする疾患であることが想像されていた.
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.