特集 国際保健医療協力
感染症予防における国際協力—フィリピンのバコロドでの1例
小張 一峰
1
Kazumine KOBARI
1
1琉球大学医学部附属病院
pp.380-382
発行日 1986年6月15日
Published Date 1986/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207276
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■はじめに
主題の感染症とは,いわば古典的な伝染病を意味するものだろう.伝染病の予防といえば,感染源ならびに感染経路対策および予防接種対策である.WHOが掲げている一大目標,"西暦2000年までにすべての人が健康であるように―Health for All by the year 2000" へのアプローチに,EPI(Expanded Programme on Immunization)と呼ぼれる予防接種強化対策とCDD(Control of Diarrhoeal Diseases)という略称の下痢対策プログラムがある.前者は,ジフテリア,百日咳,破傷風,麻疹,ポリオおよび結核のいわゆる予防可能疾患6種を対象としてその予防接種の普及を目的としたものであり,後者は,年間500万を数えるといわれた乳幼児の下痢による死亡を救うための対策であり,環境整備が対策の重要な一つになっている.
ところが,わが国では,この二つのプログラムに対する関心はきわめて薄い.それも当然のことかも知れない.
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