特集 地域における精神保健
地域における精神保健の世界的動向
加藤 正明
1
Masaaki KATO
1
1東京医科大学精神医学教室
pp.319-325
発行日 1985年5月15日
Published Date 1985/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207048
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■はじめに
編集部の依頼は,日本の地域精神保健をふまえて,世界各国の現状と問題点,さらに今後の課題を示せということである.厚生省の精神衛生課が精神保健課に変わったからといって,地域精神衛生という幅広い活動領域が,地域精神保健という領域に限られたわけではないと思われる.病院課や療養所課が同じ局に含まれたのだから,精神医療もここに含まれることと考え,さらに精神福祉をどう考えるかという問題に及びたい.
いずれにせよ,地域精神医療の問題は以前よりも焦点がしぼられてきたが,それだけに保健医療制度の異なる諸外国との比較が難しくなってきた.おそらく,「精神保健」にぴったりする言葉は「公衆衛生における精神衛生」とでも訳するほかないからである.やむを得ず,従来から使われてきた「地域精神衛生」に拡大解釈して,世界の動向のうちで精神医療・保健福祉に関連することを述べるよりほかないと思われる.
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