日本列島
今後の地域保健の動向—岐阜
井口 恒男
1
1岐阜県地域保健課
pp.770
発行日 1982年11月15日
Published Date 1982/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206611
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岐阜県では県内衛生行政従事者の研修の一環として毎年9月公衆衛生研修会を実施しているが,57年の同会では25題の研究発表と,厚生省地域保健課長古市圭治氏の特別講演が催された.
特別講演は「今後の地域保健の動向」と題するものであり,前職の老人保健課長として老人保健法制定に尽力された氏の講演として含蓄のあるものであった.今後の保健医療面での確実な動向として,①人口の高齢化と健康な老人の重要性,②緊縮財政と医療費昂騰の抑制,③行政機構の縮小,④保健医療技術の進歩を指摘された.人口の高齢化として40年後は65歳以上人口が21%となり,そのうち75歳以上の11%程度が地域での助けのいる人で,それ以下の老人はヤングオールドとして健康で生産活動に従事する人達となるべきだと説かれ,シルバーエイドシステムを提唱された.それは,自助(self aid),互助(mutual aid),公的扶助(official aid)であり,自助や地域での互助が重要でありながら,現状では非常に不足していることが注目されるべきであろう.また,今後の保健所と市町村での業務の中で,学校保健や職域の保健との連携の重要性,ねたきり老人や痴呆老人の対策,医療相談の強化,精神衛生活動の強化を強調され,医療や福祉の施設や中間施設の機能も含めた総合的なcommunity careの必要性を指摘された.
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