研究
医療従事者におけるB型肝炎ウイルス感染の経年的観察—HBc抗体によるfollow-up study
田辺 利男
1
,
安井 重裕
1
,
伊藤 志保子
1
,
川上 清泰
1
,
水尾 仁志
1
,
羽二生 輝樹
1
,
美馬 聰昭
1
Toshio TANABE
1
,
Shigehiro YASUI
1
,
Shihoko ITO
1
,
Kiyoyasu KAWAKAMI
1
,
Hitoshi MIZUO
1
,
Teruki HANEW
1
,
Satoaki MIMA
1
1北海道勤医協中央病院
pp.199-202
発行日 1985年3月15日
Published Date 1985/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207018
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HBV院内感染の実態を正確に把握するために院内職員347名(医師39名,看護婦118名,検査技師50名,事務系140名)に2年7ヵ月の間隔をおいて血清学的調査を行った.方法はpair血清を用い,同時的にHBs抗原(RPHA法),HBs抗体(PHA法),HBc抗体(IAHA法一部RIA法)を測定した.該当職員の各HBV marker陽性率はHBs抗原5.5%,HBs抗体31.1%,HBc抗体44.1%,HBc抗体は各職種間,医療職群(医師,看護婦,検査技師)と非医療職群(事務系職員)との間でも差異を認めず,抗体陽性率上昇の主な原因は加齢によると推測された.この間のHBV感染状況としてHBc抗体の陽転,すなわちHBVの初感染が2名,HBs抗体だけの陽転,すなわちHBVの再感染が1名,計3名に不顕性感染が認められた.初回HBc抗体陰性者196名の年間換算HBV感染率は0.41%と低値であり,B型肝炎ワクチンを接種する場合には対象を限定する事が重要と思われる.
(索引用語:医療従事者,HBV院内感染,B型肝炎ワクチン,high risk group,HBc抗体)
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