講座 臨床から公衆衛生へ—感染症シリーズ
性行為感染症(STD)—とくに梅毒,りん病・AIDSの動向(1)
芦沢 正見
1
1国立公衆衛生院疫学部
pp.591-594
発行日 1984年8月15日
Published Date 1984/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206912
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
性行為感染症(STD)
性行為感染症(STD)とは,Sexually Transmitted Diseasesの略称である.戦後の性風俗の多様化・「性」の商品化・企業化がもたらす性行為の極端なまでのバリエーションは,これまで予期されなかった感染症(たとえば腸管感染症や咽頭感染症)が,口腔—性器,肛門性交等の行為を介して,パートナーからパートナーにうつし,うつされることが判明し,性病は従来の古典的な梅毒・りん病・軟性下かんといった枠では収まらず,生物分類からみても,広いスペクトルをもつ感染症の一群となり,それに対して,STDという概念が好んで用いられる.
"Journal of American Venereal Diseases Association"は,1974年再刊の際,"Sexually Transmitted Diseases"という誌名によそおいを変えた1).また翌1975年の第28回WHO総会の技術討議は,「性病—その社会的側面—」というテーマで開かれたが2〜4),その際,VDのかわりにSTDの呼称が使われている.
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.