最近の検査技術
りん病の血清試験
亀井 喜世子
1
1帝京大学寄生虫学
pp.861-864
発行日 1980年10月1日
Published Date 1980/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202152
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りん病は全世界に分布する,主に性交により伝達されたりん菌(Neisseria gonorrhoeae)の感染によって起きる泌尿生殖器系の病気で,公衆衛生学的あるいは疫物見地から大きな社会問題となっているものの一つである.我が国にはその流行の実態を明らかにした報告はあまりないが,我々が数年前行った調査では街娼で15.5%(東京都,昭和48年)1),トルコ風呂従業員1.7%(川口市,昭和51年)(未発表)という成績があり,アメリカでは約1.5%2)が感染しているという報告がある.
過去においては男性の急性りんならともかく,女性の不顕性感染,慢性感染に関する検査は専門医にとってすら,頼りないものであった.その後,選択培地などの改良が進み,検査結果の信頼性も高くなってきた.しかし患者材料から,菌を分離,同定し,最終診断を下すまで,数日あるいは週を越える日数が必要であり,患者の多くは開業医などの,性病専門医以外の医者によって治療され,なんら検査を受けることなしに,"疑わしきは罰する"という方針で処置されてきた.そこで必要とされるのが,より簡単で迅速,更に欲を言えば敏感で特異性の高い,どこでも行える検査方法ということになる.
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