特集 小児の育成
子供のヒューマン・バイオロジー
山下 文雄
1
Fumio YAMASHITA
1
1久留米大学小児科
pp.312-315
発行日 1984年5月15日
Published Date 1984/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206858
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■はじめに
われわれ医療や保健の場にあるものは,これまでどちらかというと,人間を医学の側から,それも身体面からのみ眺め,理解しがちであった.
しかし,ヒトのより良い理解のためには,ヒトを大きくは地球,小さくみれば地域社会,さらにミクロには家に住む,文化をもった社会的生物という見かたのほうが,より良いヒトの理解ができるであろう.そのためには,生物学,比較生物学のみならず,生態学,行動科学,社会学,民族学,人類学,心理学など,多くの学問体系が加わる.これは近代ヒューマン・バイオロジーの流れでもある.小林登教授(東大)は,こどものヒューマン・バイオロジーの概念を導入し,その重要性の主張者であるが,ヒューマン・バイオロジーを,"ヒトを文化をもつ哺乳動物に位置づけて,生物学の立場から科学的に分析する学問体系で,この場合の生物学は広義のもので,多彩な理論体系を組合せた生物科学とでも呼ぶべきもの"と定義する1).
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