特集 ウイルス感染症
非A非B型肝炎の臨床と予防
古田 精市
1
,
赤羽 賢浩
1
,
野村 元積
1
Seiichi FURUTA
1
,
Yoshihiro AKAHANE
1
,
Motozumi NOMURA
1
1信州大学医学部第二内科
pp.226-231
発行日 1983年4月15日
Published Date 1983/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206677
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A型肝炎およびB型肝炎の血清免疫学的診断法が確立されるに伴って,輸血後肝炎あるいは散発性肝炎の中には両者いずれの肝炎ウイルスにもよらないウイルス肝炎のあることがわかってきた.これらの肝炎ウイルス群に起因する肝炎を総称して非A非B型肝炎と呼んでいる.非A非B型肝炎には,経口感染で発症し一部遷延例があるものの一過性感染で終わるA型肝炎類似の流行性肝炎型と,主として非経口感染し,個体の免疫能の程度によっては持続性感染になる場合がある血清肝炎型とがある.そしてその状態の一部は慢性肝炎となる.
前者は1955年〜1956年にインドのDelhiで大流行した肝炎1)や,Khurooより報告2)されたKashimir溪谷での肝炎等が代表的でいずれも水系感染が強く示唆されている.後者はチンパンジー接種実験でcross challenge testから少なくとも免疫学的に異なる2種類のウイルスが存在することがわかっている.
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