特集 医療社会事業
医療社会事業の歴史と現状
皆川 修一
1,2
Shuichi MINAGAWA
1,2
1川崎市川崎保健所予防係
2社団法人日本医療社会事業協会
pp.800-805
発行日 1982年12月15日
Published Date 1982/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206618
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■医療社会事業の起源
わが国の医療社会事業(メヂカル・ソーシャルワーク,以下「M.S.W.」と略す)の起源は,古く聖徳太子の時代,すなわち,同氏が施療院,施薬院を設けた時にさかのぼるといわれ,光明皇后が疾病問題に心を寄せられ,大規模な施薬事業を展開されたことは,諸々の場面によく紹介される.
英,米両国との比較においては,1902年(明治35年)に,東京大学医学部精神科において教授夫人達(有志)による精神障害者のための救済的な「救治会」が作られるなど,部分的ではあったが,慈善病院等にM.S.W.の発芽がみられた.さらに1919年(大正8年)には泉橋病院(現在の三井記念病院)に婦人相談員が配置され,1924年(大正13年)には中野療養所,1925年(大正14年)には全生園(らい療養所),1926年(大正15年)には済生会本部病院等に各々専任職員による患者相談がはじめられるなど,近代M.S.W.の前身的形態ともみられる動きがあった.
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