特集 身体障害者の地域ケア
身体障害者の精神的な支え—人工透析患者の自己管理の例
相磯 富士雄
1
Fujio AISO
1
1国立公衆衛生院衛生行政学部衛生教育室
pp.631-634
発行日 1980年9月15日
Published Date 1980/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206151
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■はじめに
わが国やヨーロッパの慢性透析患者の5年生存率は,50%を越してきている.また,ヨーロッパでの家庭透析のそれは,70%を越している1).もはや透析療法は,治療の段階を越えて生活の中に取りこまれ,社会復帰の手段となってきており,合併症がない限り健康人としての社会生活の一部になってきているのである2).
しかし,長期透析患者は,週3〜2回,1回数時間,定期的に人工透析を受け,同時にヘマトクリット,塩分,水分,カリなどの自己管理を行なっていかなければならない3)4).当然のことであるが,飲物や食物などの摂取量の管理を適切に行なうことが,基本的な要件である.しかし,この自己管理の成否は,患者の行動を左右する生活諸条件に深くかかわっている.また,この自己管理という行動は,心理社会的側面からの行動理論によって説明できるのではなかろうか.
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