特集 アジア諸国の産業保健
物理的要因による職業病
岡田 晃
1
Akira OKADA
1
1金沢大学公衆衛生学
pp.322-327
発行日 1980年5月15日
Published Date 1980/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206083
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■はじめに
物理的要因として,温熱条件,電離放射線,非電離放射線,気圧,騒音,振動などが挙げられるが,この要因は職業病の発生要因として,わが国におけると同じように他のアジア諸国においても重要な課題であることには変わりはない.しかしながら,この種のことは,工業化の程度と密接な関連があるので,各国が当面している問題にも大きな開きがあるはずであり,今回のアジア産業保健会議の発表でみる限り,ある要因はいくつかの特定される国々だけで関心が持たれ,他の国ではその問題の萌芽すら感じられないような印象さえ受けたのである.とはいうものの,将来においては各国とも同じような段階を経ることが想定されるのであり,この物理的要因に関してもすでに述べたように工業化の水準と表裏の関係にあるだけに,多くのいわゆる先進国が犯したと同じような誤りを再び繰り返さぬようにすることこそ,肝要であることが指摘される.
第9回の会議での演題数は75題であったが,本テーマに関連があったのは,セッション12の「物理的要因による職業病」で,この演題は10月26日9時30分から12時の間に発表された.
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