Derm.2023
職業病
石井 良征
1
1筑波大学医学医療系皮膚科
pp.145
発行日 2023年4月10日
Published Date 2023/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206987
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皮膚科診察時に,主訴以外の部位,つまり患者さんの訴えのないところに,皮膚病を見つけてしまうことがある.例えば,下腿の皮脂欠乏性湿疹のため受診されたおじいさんの顔を見て基底細胞癌(basal cell carcinoma : BCC)を見つける.足白癬で受診されたおばあさんの手に有棘細胞癌(squamous cell carcinoma : SCC)を見つける.仕事以外のときでも,発疹をみると,観察して診断などを考えてしまうことがあると思う.電車に乗っているとき,「この人には太田母斑があるけれど,レーザー治療はしないのかなあ」など.ここまでくると職業病と言ってもいいかもしれない.
以前に家を建てる土地を探し中,不動産屋に入った.対面した不動産屋さんのおじさんの手背にBowen病と思われる病変を見つけてしまい,その日は紹介していただいた土地が気に入らず,退散することになったが,別れ際にその旨を話した.後日手術を受けられて軽快されたが,Bowen病であった.ご縁なのか,その不動産屋から違う土地を紹介していただき家を建て住んでいる.
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