特集 公衆保建モラル
保健モラルと精神衛生
逸見 武光
1
Takemitsu HEMMI
1
1東京大学精神衛生学
pp.253-255
発行日 1980年4月15日
Published Date 1980/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206059
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■はじめに
精神衛生に関係する研修会などに参加した際,筆者がしばしば取り上げるエピソードを,ここでも先に紹介しておきたい.「あなたはどのような理由で子どもたちがタバコを喫煙することをやめるように指導されているのですか」という質問をした場合,一般市民や学校の教員はいうまでもなく,養護教員や保健婦など保健の最前線で働いている人たちからさえも,「法律で禁じられているから」,「喫煙は非行の出発点だから」などの答えが返ってきて,「喫煙は健康に害があるから」という答えはほとんどない.実態としてこれを素直に受け止める反面で,保健の仕事をするものとしてはいささか気になることではある.
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