特集 公衆保建モラル
公衆保健モラル—その例と考え方
西川 滇八
1
Shinhachi NISHIKAWA
1
1日本大学公衆衛生学
pp.230-231
発行日 1980年4月15日
Published Date 1980/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206053
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■医師の倫理
保健医療を担当する医師にとって倫理つまりモラルが必要であることは,Hippocratesが科学としての医学を確立したギリシャ時代から強調されてきたことである.今日でも,Hippocratesの「医箴」といわれる自戒文を欧米においては医師となる際に誓う,ということである.
直接医療に携わる医師のモラルに関する最近の集大成の1つは,昭和43年に第1版を刊行した日本医師会編『医師倫理論集』であろう.ここには,小川鼎三東大教授の「医史学上からみた医師倫理」,大江精三日大教授の「統一文化史の理念による医師倫理」,マリオ・カーニャ在日教皇公使の「医師と倫理について」,大谷大学名誉教授金子大栄師の「仏教よりみた医師の倫理」,大阪大学において医学概論を講じてこられた同大学文学部長・澤瀉敬久教授の「医道の根本問題」と題する講演が収録されている.さらに日本医師会医師倫理委員会(永沢滋委員長)の「中間報告」も掲載されている.本書に盛られている医師倫理の重要性に対する認識は,多くは患者と医師との人間関係というか,患者個人に対する医師の倫理観,いわゆるDoctor-Patient Relationshipである.
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