特集 公衆保建モラル
学校教育と保健モラル
黒丸 正四郎
1
Shoshiro KUROMARU
1
1甲南女子大学精神医学
pp.242-246
発行日 1980年4月15日
Published Date 1980/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206056
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■はじめに
本誌が「公衆保健モラル」を特集されるに当たって,筆者に主題のような課題で執筆を依頼されたが,実は非常に戸惑った次第である.というのは,筆者は精神医学を専攻する者で,公衆衛生とは直接関係がないからである.ただ,よく考えてみると,筆者の専門とする〈精神衛生〉の立場からみて,これは全く無関係の課題ではなく,考えようによっては非常に重要な関連を持っものとも考えられる.あえて筆を執ったのは,以上のような次第からである.
多少耳新しい言葉であるが,〈公衆衛生モラル〉とは「公衆モラル(道徳)の保健に関する側面」といってよいであろう.保健というのは元来,われわれ個人が自己の健康を保つために必要な知識や実践のすべてをいい,その場合,自己を守るためには他者一般をも含めて,お互いに健康が保てるような手立てが大切で,そのためにはお互いの間に必要な知識や実践があるが,そこには一般公衆道徳にも似た〈道徳性〉が貫いていないと,実のある実践活動にはならない.
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