特集 第20回社会医学研究会総会報告
自由集会Ⅰ〜Ⅳ抄録
pp.216-220
発行日 1980年3月15日
Published Date 1980/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206050
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Ⅰ.私の生きてきた時代と「医療の社会化」--曽田長宗
■曽田長宗先生講演要旨
私が大学(東京帝大医学部)を卒業したのは1926(昭和元)年で,在学中からだんだんと世の中が窮屈になっていましたが,1928(昭和3)年最初の普通選挙の直後,3・15,翌年が4・16の共産党大弾圧という時代でした.私も大したことはやっていないのにこの風に吹き飛ばされて留置場をたらい回しされた揚句,脚気熱が出て釈放され,郷里で静養しているうちに台湾へ行かないかという話があって,1930(昭和5)年の1月に台湾へ渡りました.
もともと私は新潟県柏崎の在の,雪深い村に生まれました.父は済生学舎を出た開業医で,私はその長男であったので,父のように,病気に苦しむ人,困った人に尽くすのが自分の天職だと思っていました.しかし,自宅に奉公に来ている看護婦や女中たちの実家の様子はそういう私にもよく見えていました.
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