特集 第20回社会医学研究会総会報告
社医研20年の歩みと今日の課題
山田 信也
1
1名古屋大学医学部公衆衛生学教室
pp.157-158
発行日 1980年3月15日
Published Date 1980/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206038
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社会医学研究会は,わが国の高度経済成長の展開と破綻の20年の歴史と歩みをともにしてきた.この時代に,生活・労働の環境の悪化によって,多くの犠牲を強いられた働く人々や地域の住民が,重き病や死の瀬戸際から生存の基盤と健康を守る取り組みを始めた.公害,労働災害・職業病などの被害者の救済と予防の取り組み,乳幼児・身障者・老人医療,難病の救済などの公費医療の確立を求める取り組みなど,恐らく将来,振り返って見た時,この時代の国民の立ち上がりは,生存権確立の歴史的な画期と評せられるに違いないと私には思われる.この動きは,わが国の多くの分野の学問研究に大きな影響を与えた.公害問題に見られるような,政治,法律,経済,人文,社会や,理・工・農・医など,人文科学,社会科学,自然科学の幅広い領域での学際的な調査・研究,啓蒙の活動の展開は,その最も代表的な例といえよう.当然のことながら,わが社会医学研究会にもその影響は及び,発表された研究テーマにそれはよく反映している.
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