特集 医師会の地域社会活動
救急医療システム—鎌倉市医師会
内藤 悌三郎
1
1鎌倉市医師会
pp.37-42
発行日 1979年1月15日
Published Date 1979/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205755
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■はじめに
鎌倉市ではコンピュータによる情報収集システムを,昭和49年11月から発足させた.電算機を救急医療システムに取り入れることは世界で初めての試みであり,情報システムは救急システムの一部にずぎないのにもかかわらず,あたかも理想的な救急システムが完成したように受け取られた.それは,その頃ジャーナリズムが"たらい回し"を中心として夜間救急問題を取り上げ,住民はいっそう不安感を煽られて,理想的な救急システムの出現が社会的願望となっていた,という背景によった.
いうまでもなく救急システムは,応需システムの完備がその根本である.情報システムは従であり,コンピュータがなくても電話コントロール・システムでも事は足りる.しかしながら,コンピュータ・システムは単に情報収集にとどまらず,応需システムの乏しさを補い,その機能を十分に発揮させるのに役立つことがわれわれの経験から判明した.東京・大阪級の大都市以外の多くの地域では,三次に該当する大病院はなく,二次を担当する病院すら十分でないのが普通である.鎌倉市の場合にも公的病院はなく,三次に当たるものはない.二次すらも,夜間救急に対応するには困難な内情をそれぞれに持つ私的医療機関のみである.
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