連載 PHNに会いたい・1【新連載】
―神奈川県鎌倉市―鎌倉方式(民間委託)と直営保健師の役割
荘田 智彦
,
石黒 知美
1
1鎌倉市健康福祉部市民健康課
pp.791-795
発行日 2007年9月15日
Published Date 2007/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101150
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鎌倉市の話を聞くまでは,私は行政から民間への業務委託,特に住民の生命や健康に直接関わりのある,公衆衛生や保健事業の業務委託には懐疑的でした.それは,ともすると事業効率や経済性を優先させるアウトソーシングが,行政の公的責任の履行義務をおろそかにしないかと懸念したからです.ところが鎌倉市では,その民間委託をうまく活用し,なおかつ公的責任をおろそかにしない,保健事業でも「定量,定型化した事業は民間に業務委託するが,そこで生まれる余裕分を保健活動としてこれまで目の届かなかった市民(生活)サポートに広げていく」という特段の配慮がされているというのです.公的業務の代行を委託する側と受ける側と住民の連携がうまく図れ,全体として市民生活の安全安心,健康生活に厚みが増していると住民が感じるなら,それは評価しなければなりません.
いま鎌倉では他に先がけ,長年の固定化した保健部門の考え方そのものを大改造しようとしています.「このままではいけない」と悩んでいる保健師たちに喝を入れ,逃げようのない意識変革を迫っているのは,時宜を得て配属されてきた事務系の上司たちの熱意であり,「市民のため」の保健活動(事業)がどうあればいいか,連日のように繰り広げられる事務方と専門職の熾烈な意見交換を経て生まれてきた「鎌倉方式」.なぜ連載第1回のPHN(パブリックヘルス・ナース)モデルを業務委託の進む鎌倉市に求めたか,そのわけを報告したいと思います.
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