特集 医師会の地域社会活動
学校保健—蕨・戸田市医師会
中村 泰三
1
1蕨・戸田市医師会
pp.24-29
発行日 1979年1月15日
Published Date 1979/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205752
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■はじめに
わが国で学校医の制度が設けられたのは明治31(1898)年で,勅令により全国の公立小学校に1名ずつの学校医を置くことが定められ,公布されている.国として,全国的に学校医を配置する制度を制定したのは,世界でわが国が最初であった.そして,この制度の制定に伴い,学校医として就任し,学校保健(学校衛生)活動に従事した医師は,すべて民間の実地臨床医家(開業医)であった.爾来,今日まで80年にわたって,児童・生徒の健康と安全を守り,衛生思想を向上させ,健全な国民を育成するための活動が,組織的・計画的に,しかも民間の医師によって連綿として継続され,地道に実践されてきたことは,世界に比類をみないものなのである.
日本医師会は,学校保健活動を地域医療の一環としてとらえ,地域保健(地域住宅を対象とする母子保健・老人保健など)ならびに産業保健(会社,事業所などを対象とする)とともに,これら3つの分野の保健活動を包括して,全国民の生涯保健に対応している.したがって,各地の地域医師会にあっても,医師会員である医師たちは,たとえ学校医であろうとなかろうと,その地域の学校に通学する学童の健康問題は包括的地域医療の重要な問題として認識し,てれに関与することを当然の責務としている.
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