特集 健康増進
地域における健康増進のすすめ方
竹村 宏之
1
1厚生省公衆衛生局栄養課
pp.329-334
発行日 1977年5月15日
Published Date 1977/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205383
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はじめに
すべての人はわが身が健康でありたいと願うものである.幸いにわが国では,戦後伝染病の後退により,国民の健康は急速に向上した.今では,平均寿命は世界有数の水準に達しており,全般的にみて健康のレベルは非常に高いといえる.しかし,現代に生きる人が皆自分の健康に満足しているといえるであろうか.老齢化の進むなかで,老化を嘆く人は増しており,運動不足を苦にする人も多い.中年を過ぎて,何かをしなければと悩む人が数多くいることは事実である.健康は自分自身でかちとるものであるが,彼らには自らの健康のための活動として何をどうするかという知識が不足しているし,またそのきっかけをつかむことも必要である.そのためには適当な方法と動機づけをする指導が必要であり,さらにそれらを国民運動として盛り上げるシステム化も必要である.ここに,健康増進対策を行政需要としてとらえる意義がある.
健康増進対策は,栄養,運動,休養の3本の柱を原理として実施される.これに基づき地域においてその輪をひろげることは非常に困難な仕事である.しかし,国民衛生の現状からみて,その時期は早くから到来しているものと考えざるを得ない.そこで,これらについて現状と問題点を探ってみよう.
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