特集 プライマリー・ケア
東南アジア諸国におけるプライマリー・ケア—タイおよびマレーシアの農村保健サービスを中心に
黒子 武道
1
1東京都神経科学総合研究所・疫学
pp.270-276
発行日 1977年4月15日
Published Date 1977/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205367
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はじめに
最近,発展途上国における保健サービスの強化,特に農村地域や都市のスラム地区住民に対する効果的な医療,および公衆衛生サービスの提供システムへの一つのアプローチとしてprimaryhealth careの導入が提唱されている.主として,auxiliary health personnelにより提供される地区保健組織を意味するものであるが,もっとも,primaryというのは,通常用いられている第二次,第三次ケアに対応するものではなく,個人や地域社会の当面する保健問題を解決するための保健サービスの最初の段階(first level)の諸活動,というほどの意味であって,村落および地区レベルの保健所,または診療所における保健サービスに加えて,農村あるいは地区病院の関連サービスをも含むものと解されているようである.いずれにしても,束南アジア諸国においては,大多数の住民が農村地区に居住しており,これら住民に対する保健サービスの強化・拡充は住民の切実な要望であるばかりでなく,保健担当者の最大の課題となっている.本論文においては,東南アジア諸国,特にタイおよびマレーシアにおける農村保健サービス組織活動の進展とその現状について概説することにしたい.
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