特集 公衆衛生への提言
政策・行政
脳卒中対策を急げ
若松 栄一
1
1医療金融公庫
pp.519-520
発行日 1976年8月15日
Published Date 1976/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205230
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進まない老人保健対策
わが国の人口の老齢化が,世界のどの先進国も経験しなかったほどの急速度で進行していることは,既に常識となっている.そして老人福祉対策がともかく多角的に動き出しているにもかかわらず,老人保健対策がいっこうに動きだそうとしないのは,どういうわけだろう.
昭和50年の65歳以上の老人人口は877万人であり,それが60年には約1,200万人に,70年には1,600万人になると推計されている.65歳以上の老人の死因の3分の1は脳血管疾患であり,死亡者の約3倍は後遺症者として,心身障害者として生活している.いわゆる寝たきり老人といわれる人々は,50年では36万人位といわれるが,20年後には倍の72万人位と推計される.「恍惚の人」とさわがれて注目をあつめたボケ老人の4割は,脳卒中後遺症者であり,脳卒中後遺症者の4割がボケ状態になっていると,調査結果は知らせている.
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