特集 ヘルスマンパワー
日本のヘルスマンパワーの現状と課題
橋本 正己
1
1国立公衆衛生院衛生行政学部
pp.668-678
発行日 1975年10月15日
Published Date 1975/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205085
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はじめに
今日,世界の先進的諸国では,人口の老齢化,傷病像の質的変化,医療技術の革新と医療の専門分化等が,国民の健康に対する権利意識の向上と相まって,医療・公衆衛生に対する需要を量的にも質的にも際限なく増大させるすう勢にある.その半面,これに対応し,これを充足すべき社会的諸資源には,おのずから限界があるため,医療・公衆衛生に対する需要と供給のギャップが急激に拡大しつつある.このことが各国で例外なく大きな社会問題となっていることは,周知のとおりである.近年national health planningに対する各国政府の関心が急速に高まっていることは,端的にいって,今日の医療・公衆衛生の危機的な状況に対して,このアプローチこそが限りある社会的諸資源を最大限有効に活用するために,のっぴきならぬ課題であることを示すものといわなければならない.
すなわち,national health planningは,国の総合的な社会経済発展計画の重要な一環であり,またそれ自身いくつかの基木的サブセクターを有するものであるが,その中でも,計画全体への影響が至大であり,かつ最も困難で複雑な条件にあるのが,ヘルスマンパワーの問題である.
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