研究
自動車交通による環境汚染
相沢 龍
1
1長崎大学医学部公衆衛生学教室
pp.647-654
発行日 1975年9月15日
Published Date 1975/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205081
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はじめに
近年motorizationは激化の一路を辿り(1972年末現在の車両数23,869,198台…運輸省資料),車両交通量の激増や渋滞などによって,産業立地・地勢・気象その他の諸条件が複雑に作用しあい,広域的にあるいは局地的に自動車交通による種々の環境汚染が惹起され,住民の日常生活や健康に脅威を与えつつある.そのような環境汚染は光化学スモッグであったり,交通騒音振動として,あるいはNOx,CO,浮遊粉じん,anti-knock剤由来の鉛としてそれぞれ単独になど,いろいろの形で問題にされており,大都市を中心にそれらの環境汚染と影響にかかわる実態調査も数多く行なわれてきている.
当教室でも,かねて長崎・佐賀県の諸都市で交通騒音問題の調査研究や,長崎市では自動車排ガス中の鉛による環境汚染と交通係警官への影響調査を行なってきたが,昭和48年からはCOによる環境汚染の研究を始めた.ここでは最近行なった長崎市内で交通渋滞のはげしい繁華街と対照住居地域での調査結果の概要を紹介し,激化する自動車交通に対する環境保全の活動になにほどかでも寄与したいと考える.
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