発言あり
健康被害の補償
田中 茂
1
,
滝沢 行雄
2
,
正岡 和
3
,
横山 和彦
4
,
金城 妙子
5
,
ろ
,
ほ
,
は
,
い
,
に
1富士電機吹上診療所
2秋田大学公衆衛生学
3東京都衛生局結核課
4社会事業大学
5沖縄県那覇保健所
pp.1-3
発行日 1975年1月15日
Published Date 1975/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204936
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PPPの原則を正しく守るには
水俣病,イタイイタイ病,四日市喘息などの公害病が世界的に注目される所以は,多数の犠牲者を出していることにもよるが,それ以上にこれらの疾病の特異な発生機序にもとづくものである.慢性もしくは亜急性の健康破綻として,原因物質が自然の媒体を通して被害を発生せしめるという食物連鎖が介在し,科学的解明が困難であるだけに,公害対策を進めるにあたって,最大の争点は因果の立証をめぐる問題となる.
ところで,原因者である企業の法的責任は,疫学研究の成果を重視してようやく明確にされてきた.しかし,その道程には非常な年月と厳しい労力を要した.ちなみに,被害者が救済されるのに,水俣病で17年,四日市公害で12年かかっている.このような状況からみて,公害健康被害者救済の諸費用の負担を国際視野にたつPPP(汚染者負担の原則)に基づいて,汚染量の寄与率に応じて企業に負担させるという補償法の制定は,公害対策のひとつの前進といえよう.
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