特集 地域保健を担う人々
柔道整復師と地域保健
池添 誠祐
1,2
1東京柔道整復専門学校
2東京柔道整復師会
pp.414-416
発行日 1974年8月15日
Published Date 1974/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204874
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古くから日本に伝わる柔道は投げ技,抑え技,関節技,締め技,当て身技等がありこれらは凡べて殺法に属している.殺法に対し活法がありこれは仮死の状態に対して蘇生させる方法で狭義の活法という.また骨折,脱臼等に対して整復を施しこれを固定し治癒に赴かせる治療法は広義の活法である.
柔道はこのように活法と殺法を修めるのが本筋であったのでこの道を修業した者は皆一方で柔術を教え他方接骨医として「ほねつぎ」治療を永い間行なってきたのであるが世の中の移り変りと共に柔道整復師という名に変り今日に至っている.現在の柔道整復師は一口にいって整形外科の一部である無血治療と理学療法その他マッサージの一部を合併して成る技術である.例えば創の無い外傷即ち打撲,捻挫,脱臼および骨折等に対し転位ある骨折端や関節端を正常位に整えこれに適当な副子包帯を施して一定の日数の間固定し自然治癒を待って固定の必要のなくなった時にこれを外し,患部に運動療法を施し患部の血行を促し新陳代謝機能を旺盛にし筋の萎縮や関節の拘縮等を防ぎ後遺症のない完全治癒を計る療法が現在の柔道整復でありこれによって地域保健に貢献せんとするものである.
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