研究所総点検
国立遺伝学研究所
森脇 大五郎
pp.802-803
発行日 1972年12月15日
Published Date 1972/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204592
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設立の事情
本研究所は昭和24年5月31日に文部省設置法が公布され6月1日付をもって誕生した."遺伝に関する学理の総合研究及びその応用の基礎的研究をつかさどり,あわせて遺伝学研究の指導,連絡及び促進をはかること"を目的としていることからも明らかなように基礎的研究に重点をおいたものであり,文部省所轄の研究所としても独自の性格をもったものであった.後年共同研究所のカテゴリーに属する国立大学付属研究所が設置されるようになったが,むしろこれを先取りしたものともいえよう.研究センターとしての使命を帯び,全国の遺伝学者はもとより生物学関係の各学会からも大きな期待をもたれて設立に当たったものである.
設立の議がおきてから実現までには戦争をはさんでではあるが10年を経過している.すなわち昭和14年10月第12回日本遺伝学会大会の役員会の席上において当時北大教授であった小熊捍博士が国立遺伝学研究所設立の緊要なことを説かれたことが設立への公的な第一歩といえる.つづいて博士は「国立遺伝学研究所設立の急務」と題する20頁に及ぶパンフレットを作成され国会に対する働きかけをされた.翌15年8月には京城で開かれた日本遺伝学会第13回大会が国立遺伝学研究所設立決議案を満場一致で可決している.この運動は戦争で一時中断されたが,終戦とともにいち早く再開された.
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