特集 コミュニティ・ケア
公衆衛生看護とコミュニティ・ケア
小林 富美栄
1
1東京女子医科大学看護短期大学
pp.639-642
発行日 1972年10月15日
Published Date 1972/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204557
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看護の対象者
看護の目標は健康の保持,増進および健康を回復しようとする人びとを援助することである.健康に障害がある人に対して治療が行なわれる病院・診療所では,健康回復を目標に,現状よりは,より高い健康レベルに達しようとする看護の対象者へのはたらきかけがなされる.医療機関内,特に病院にいる健康障害者にもいろいろな段階で,生活をしている人間としての健康状況がある.急性期で,生命の危険度が高い患者から,損なわれていた機能が正常に近くなりつつある段階,まったく他人の援けに依存して生活しなければならないレベルから完全に自立して療養生活をしている段階,自分の健康問題についてまったく認識できないレベルから,問題をつかみ看護者と目標を共有して入院生活をしている段階の人々などがありこの諸段階が複合している状況をもっている入院者個々人の看護の必要性に対応することが医療機関内における看護である.ここでは,対象が健康障害を自ら認識し,主体的に障害を克服し,健康を獲得する方向で,対象の健康状況に応じて計画された看護が行なわれる.看護者としては,特定の人に対する健康上の支援が,ある一定期間で終えんするものでなく,一貫した健康計画を対象者自身がもち,それを実践することを援助できる--看護の継続性の一側面--体系が保健・医療サービスのシステムにのせられることを悲願としている.
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