特別連載
米国における保健医療体系の苦悩ならびに医師・歯科医師・看護婦の深刻な不足とその対策
館 正知
1
,
石戸 利貞
2
,
高橋 英勝
3
1岐阜大・公衆衛生
2岐阜県衛生部
3岐阜県郡上保健所予防課
pp.239-243
発行日 1969年4月15日
Published Date 1969/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203863
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第Ⅰ章 序論
米国の保健医療費は著しい増加を続けており,1966年の夏においては,全物価の上昇率の2倍にも達し,この分でいくと,保健産業(health industry)は1975年までに米国における最大の雇用者になるにちがいないと予想された.保健医療費請求総額(national health bill)は500億ドルに近づき,しかも保健従事者や医療施設の数の増加は,いまだかつてないほど大きいにもかかわらず,専門的な保健サービス(professional health service)が利用しにくいという不満が世間に広がってきていた.このような背景のもとに米国は,合衆国史上最も意義の深い保健医療法であるメディケアおよびメディケイド(Medicare and Medicaid)の施行という仕務に直面したのである.これらの問題の処理に関し,大統領を援助するため,"保健要員に関する米国大統領諮問委員会"が設置され,"保健要員を利用しやすく,その活用法を改善するために政府,私的な施設,団体あるいは個人がとるべき措置に関し適切な勧告を作成する"使命が与えられたのである.
委員会活動の当初に明らかにされたことは,保健要員の研究は,ただ単に人員の総数を問題にするだけではだめだということであった.
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