人とことば
疫学と現象論
高橋 晄正
pp.199
発行日 1968年7月15日
Published Date 1968/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203700
- 有料閲覧
- 文献概要
わたくしたちの当面する社会医学の問題は,現象論的な解析を必要とするものが多い。十分に広い範囲にわたって要因をとりあげ,科学的にこれを追究していくことが有用でもあり,必要でもあることはタバコと肺ガンの関係の場合にも実証されたということができよう。
しかし,いわゆる疫学の専門家といわれる人たちのなかには,解析と推理の科学を現象論として低く評価しようとする考えの人が少なくない。現実についての認識が,現象論的な帰納とその極限における仮説の提起およびその実証を通して深められていくものであることは,科学における認識の問題として一般的に述べてあるとおりである。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.