特集 保健所活動30年記念特集
保健所活動30年史
回顧と現状
保健所とともに歩む
モデル保健所の思い出
荻村 正男
1
1東京都市中保健所
pp.515-517
発行日 1967年9月15日
Published Date 1967/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203530
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杉並保健所生活7年半のはじまり
昭和23年6月のある日,品川保健所勤務から杉並保健所衛生統計係長への転任の辞令をもってモデル保健所を訪れた日から,私の杉並保健所での7年半の生活が始まった。このように私はモデル保健所要員ではあったものの,真のstarting memberではない。私のほかにも,小河栄養係長もずいぶんおくれて着任している。当時保健所を担当していた都の酒井保健係長が進駐軍の命ずる条件にかなったmemberを各方面から引抜いてモデル要員を作っていたわけだが,引抜きかたも強引であるとそうとうたたかれたようである。しかし強引なのは酒井先生ではなく,進駐軍命令であったと思う。私のおくれたのも理由のあったことだったが,おもしろいことに,私の着任するまでの期間は,なんと厚生技官の某氏が係長をやっていた。いかにもあの当時らしい話である。さて着任して,はりきって仕事を始めたのだが,業務のほうは厚生省編さんGHQ提供保健所運営指針(われわれはバイブルと称した)に万事のっとって行なった。この指針はモデル保健所を標本として行なわれた講習会の資料を集録したもので,講師はいずれも連合軍総司令部,公衆衛生福祉部の各専門係官であった。これらの専門係官が必ずしもすべて専門家であったかはわからないが,この指針はなかなかりっぱなもので,いま読みかえしてみてもちゃんとした内容のものである。
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