講座 情報科学とその応用・4
臨床診断に応用された情報収集の実例—電子計算機とマイクロ・フィルム併用による病歴管理
岡島 光治
1
,
岩塚 徹
2,3
,
安井 昭二
3,4,5
1名古屋大学環境医学研究所第三部
2愛知県中央健康相談所
3名大
4名古屋大学医学部日比野内科
5名古屋大学医学部中央病歴室
pp.476-483
発行日 1967年8月15日
Published Date 1967/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203516
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はじめに
公衆衛生や疫学の分野において,種々の調査資料の占める役割はきわめて大きいものであるが,臨床の領域で,上記の調査資料に相当する診療情報,すなわち病歴(カルテ)の果たす機能も非常に大きい。現在入院中の,あるいは通院中の患者の病状や診療行為に関する記録を残しておくことは,診療担当者である医師や看護職員にとってぜひ必要であり,また法律でも規定されている。さらに通院や入院が終了した後にも,病歴の必要性は,同じぐらい,あるいはそれ以上ある。
その第一の用途は,その患者がふたたび病院を訪れた時,前にどのような病気にかかっていたか,あるいはどのような手術をしたか,どの薬に過敏反応を示したか,(たとえばペニシリン・アレルギー)などを知ることは,診療上絶対に必要であり,またそういった情報から今回の病気の診断がつくことも多い。第二の用途は,臨床医学研究に病歴を役立てることである。臨床医学は診断学にしろ,治療学にしろ,たくさんの病歴のなかから因果律を演繹したものの総合といってもさしつかえない。したがって,病歴は臨床医学にとって最も大切な研究資料である。
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