海外だより
アメリカ人の生活
山本 幹夫
1
1順天堂大学医学部公衆衛生学教室
pp.462-464
発行日 1966年8月15日
Published Date 1966/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203329
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実質的格差はきわめて少ない
繁栄した経済の中における健康な生活といえばすぐ誰にでも見当がつくことであるが,貧乏な生活の中の公衆衛生となると考えにくいかもしれない。米国の貧乏といってもわが国の場合にくらべれば,平均所得は5倍弱も高いから,貧乏とはいえないという人がいるかもしれない。しかし,物価は高いし,実感では100円が1弗ぐらいにあたるような感じであるから,平均実質所得からすると,低所得階層では,日本とそれほどかわらないことになるかもしれない。最低生活をするニグロの家庭が,衣食住からみると,日本のボーダーラインということになるかもしれない。少なくとも,家は日本の都会のそれよりは広いが,いろいろの面から他の多くのアメリカ人との格差がひどい。本人達にとってみれば,日本のボーダーラインの人達よりみじめに感じているかもしれない。ことに人種的差別があることは,何といっても大きな格差になっている。
バークレー市(加州大学のバークレー校舎がある所)について,最初の約2週間,市の保健婦さんについて市内を家庭訪問したことは,アメリカ人の生活を直接にこの目で見,これらの人々と言葉を交わすよい機会だった。その時にこの市の約30世帯位を訪問することができた。
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