特集 今後の結核問題
ろんそう
結核の撲滅のために
綜合対策を推進する中で—僻地の結核の現状から
原 寿太郎
1
1北海道当別保健所
pp.339
発行日 1966年6月15日
Published Date 1966/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203266
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当別保健所管内H村の状況
結核対策はいまや偏在階層に対する対策の徹底を決め手として追打ちの段階にあるといわれている。しかし,僻辺地域において,すでにそうであるというわけでないことはいうまでもない。筆者は僻地性の背景の中でこの種の業務に携わっている者の立場から当所(L5)管内H村の例をとり,首題に沿った問題を2,3要約して考えてみたい。
H村は当所より75〜95kmの距離にあり,面積(東西18km,南北36km),人口7,295人(昭和40年末),村内諸部落の大半が,いわゆる「5〜3級地」ないし「特別〜第2種地域」に該当し,生保適用率は6%の高率を示している。人口構成は壷〜瓢箪型の中間型に変り,さらに出稼による流動は年々増大する傾向にある。人文関係の特徴として,長年にわたる生活環境の閉鎖性によって形成された特有の社会枠は容易に解きほぐし難く,依然として根強く底を流れており,すべての生話態度がその規範の中に維持されてきている。このことが結核対策を含めた保健活動に対する関心度や問題意識度の低調さ,あるいは各種問題点についての連帯感の欠如などに密接に関連している。
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