特集 伝染病予防
伝染病対策に望む
真の伝染病予防法への切りかえを
山下 章
1
1東京都麹町保健所
pp.421-422
発行日 1965年7月15日
Published Date 1965/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203079
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伝染病予防活動に進歩がないもう27・8年も前,私が公衆衛生に足を踏み入れた最初の勤務場所が東京市の防疫課であった。当時ここで東京市全体の防疫を担当していた。そこには20名ほどの医師と30名ほどの保健婦がいた。仕事は外来伝染病の検診や集団発生の措置もあったが,主なものは接種会場である市内の小学校を訪ね歩いて,種痘とジフテリアの予防接種をすることであった。腸チフス・パラチフスの予防接種は町会で自主的に行われていた。
戦後東京都の防疫課に復員してきたときは,丁度発疹チフスと痘瘡の大流行の真最中であった。したがって有無を言わせず種痘や発疹チフスの予防接種と疑患者の検診に追いまくられた。昭和23年には予防接種法が定められ,予防接種の業務量は一段と多くなった。
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