論叢 保健婦活動の前進のために
疾病予防と健康増進が目標—保健所の保健婦から
上原 京子
1
1田無保健所
pp.701
発行日 1964年12月15日
Published Date 1964/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202955
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疾病予防の活動と治療活動とが,医療のあらゆる場面で密接に結びついて行われなければならないということが,いろいろな場面で叫ばれています。公衆衛生活動の一部を担っている保健婦活動にとっても,綜合的なものが望ましいということはいうまでもありません。このようないわば自明な事柄がなぜ今まで実現していないのか疑問に思われます。たとえば保健所の結核患者管理は,管理カードの採用によって,所内に集まる情報が患者個人ごとに把握され,より効果的になったことは大きな進歩ですが,他機関との関係になると,まだ組織的になされているとは思われません。予防,早期発見,治療,社会復帰の過程が,綜合的組織的に行われなければならないと痛感しています。
現在の保健婦業務は疾病予防よりも発生した疾病の対策に重点がおかれているようです。あるいはむしろそうならざるを得ない状況といった方が当をえているでしょう。私たちのところでは未熟児や感染性結核患者の家庭訪問に追われてしまい,人的物的両面からみてもそれ以外の仕事にとり組めない状態です。地区組織活動や集団健康教育をとり入れた保健婦活動をしているところもありますが,それ自体に積極的な評価がなされていないように思われます。
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